花粉の季節、ケンカ腰のあいつにかける言葉は

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「はっくしょん!!」

はあー。またこの季節がやってきた。
くしゃみを連発する人でいっぱいの、朝の満員電車。
ほぼ全員がマスクをしているみたいだ。
せっかく暖かくなって、もうすぐ春だというのに、この時期、花粉に悩まされる人にとっては最悪な季節だ。
花粉症。くしゃみ連発、鼻はずるずる、目もかゆい。
仕事にも読書にも、まったく集中できない。
頭がぼおっとして、苦しい。

この花粉症というのは、ほぼ、治らないものらしい。そして誰もが急になる可能性があるとも聞く。
それでも、地道な体調管理で症状をやわらげることは可能だという。
その方法のひとつは、自律神経のバランスを整えること。
具体的には、早寝早起きなど規則正しい生活をする。
お風呂にゆっくりつかる。身体を暖める飲み物を取る。
適度な運動。長時間労働などのストレスを緩和する。良く笑う。などがある。
身体を暖める、良い栄養を摂る、心が落ち着く。それが大事なようだ。
ヨガ好きの私としては、ヨガもとてもおすすめ。
そしてもうひとつが、腸内環境を整えること。
食物繊維を多く含むものを食べるとか、ヨーグルトや発酵食品を食べるとか。

要するに、日々ていねいに、規則正しく清々しい暮らしをしていくのが良いようだ。
いや、ごもっとも。
でもたいていは、一年のうちのこの数か月の苦しみを、過ぎてしまえば忘れてしまうのだ。
私の両親は、ヨーグルトが花粉症に良いと聞いて、律儀に毎日食べているけれど、単純に好きなだけだろう。

そもそも花粉症というのは、体内に紛れ込んでしまった花粉に対して、身体を守る免疫機能が反応し、過剰に攻撃してしまうことにあるという。
とはいえ、免疫機能は、とても大事だ。
風邪やインフルエンザ、感染症など、免疫機能が低下していたら、ひとたまりもない。
免疫細胞たちは、日々身体の中で、外からきた異物と戦ってくれているのだ。
免疫細胞がちゃんと働かなければ、すぐに私たちは弱ってしまうはず。

そこで私は以前に聞いた話を思い出した。
ガンになってしまった患者が、スターウォーズの戦いをイメージして、自分のガン細胞と戦って退治する、というイメージ療法で、ガンが完治した人がいるという話。
ちょっと信じがたい気もするけれど、でも病は気からともいうし、前向きな姿勢が自然治癒力を高める、というのも聞いたことがある。

それならば、こんなイメージはどうだろう。
自分の身体の中には、免疫細胞という名の戦士たちがたくさん住んでいる。
戦士たちは、普段は身体中を巡回して回ったり、リンパ節という名の要塞でトレーニングを行ったりしている。
巡回中に不審者に遭遇すると、一撃で倒してしまうし、手ごわい相手で勢力が必要なら、応援を要請して仲間を呼ぶこともできる。
少々攻撃的で、けんかっ早いが、身体を守ることに命をかけている戦士なのだ。本当に頼りになる存在だ。
そんな戦士の前に現れた、花粉。
まったくそぐわない場所に紛れ込んでしまって本人も困惑している花粉。
しかし、そんな花粉であっても異物だ。戦士にとっては不審者に違いない。
興奮し、今にもケンカ腰で花粉につかみかかろうとする免疫細胞。
私はその肩にそっと手を添えて、(本当は肩はないだろうが)落ち着いて、と声を掛ける。
「花粉なんて、そんなに悪い奴じゃないよ。君がそんなに怒ることじゃない」
いきり立っていた免疫細胞も、それを聞いて少し落ち着きを取り戻す。

ちょっとしたお遊びでこんな想像をしてみる。まあ、くだらないといえばくだらない。
でも別に、想像するだけタダである。
私はこれで、ちょっと楽しい気持ちになったりする。
身体を守ってくれている免疫細胞たちが暮らしやすいように、環境を整えると思えば、日々の地道な体調管理にも気を付けやすい気がする。自分一人の身体じゃないよ、という感じで。
いや、私の身体のために戦ってくれているのだけど、その感謝の気持ちを込めて。
他の人は楽しいかどうか知らないが、このお話を気にいってもらえたら嬉しいけれど。

私は以前、花粉症の症状がひどかったのだが、実はここ数年は発症していない。
今年も今のところはまだ大丈夫そうだ。
想像力の効果のほどは分からないし、花粉が多い年などはまたきっとやってくるだろう。
だから今も、ケンカ腰で花粉に攻撃しようとしているあいつには、そっと声を掛けている。
イメージの力は、思ったより強いのかもしれない。